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虎白

日本の旬の食材そのもののおいしさと、それを引き出す調理法。

CUISINE / JAPANESE

 

つなぎを使わず、すべてが車海老

車海老のしんじょは、パッと見て、まず色がきれいでしょう。熊本産の車海老のしんじょに、新物のクチコと小さな蕪を添えた一品です。

秘密は、「虎白」ならではの車海老のしんじょです。車海老のしんじょといえば、日本料理ではわりと作られている料理です。でも、これは従来のものと違って、つなぎに魚のすり身や大和芋などを一切使っていません。つなぎを使ってももちろんおいしいのですが、食材本来の味が柔らかくなってしまいます

それで、ゆでた車海老をすり身状にしたものと生の車海老を合わせて、みそと頭と殻を別にすり鉢ですって裏ごしし、海老のエキスをたっぷり出し、しんじょの中に混ぜて仕上げました。調味料も使っていないので、いわば100%車海老しんじょ」です。

 

すべてが車海老だからこそ、雑味のない、ピュアで濃厚な味わい表現できました。時に、見た目に驚きのある、鮮やかな赤色が実現できたのです。

新しい調理法を生み出し、日本料理の幅と奥行きを広げる

千葉県産の鮑に、軽く酒を振り、少々の水と昆布、大根を入れた鍋で2時間半蒸し煮にたのが、この鮑の蒸し煮です蒸し煮にすることで、鮑のふっくらとした柔らかなおいしさを引き出しました。そこに、すだちを絞ったキュウリの千切りを添えて。食べた瞬間に、口の中に初夏の爽やかさが広がる料理です。

このときはキュウリの千切りに合わせましたが、年によって、鮑を煮た出汁をゼリーで寄せたものとか、裏ごしした肝のソースをかけるなど、いろいろやります。定番は「虎白」にはほとんどなくて、あるとしたら鮎の素揚げと松葉蟹のしんじょくらいかな。

 

旬の素材を最大限に生かした調理法で、季節を味わうというのは、日本料理の基本です。素材は和の他にも中国料理やフレンチの主役になるものなど、ジャンルを超えていろいろ使いますが、それも奇をてらうのではなく、あくまでも素材を生かすため。新しい調理法を生み出すということは、日本料理の幅と奥行きを広げることだと思っています。

虎白の「料理哲学」

虎白の特徴の一つをわかりやすく表現しようと、今回はトリュフを使いました。

外国の食材を使っても、“和”の中の軸はブレない。日本料理の伝統的なスタイルを踏襲しながらも囚(とら)われず、日本の旬の食材そのもののおいしさと、それを引き出す調理法、組み合わせを突き詰めて、今までにないおいしさを表現する。それがいわば、虎白の料理哲学です。

だから外国の食材をメインにドンと出すようなことは絶対にありません。この料理も、黒トリュフは蟹を引き立てるための脇役。

ズワイガニのオスとメスの両方を、蟹味噌と一緒にあえて、下に焼き茄子と白味噌の出汁を張り、上からスライスした黒トリュフを散らしました。出汁は生姜、ニンニクのみじん切りと蟹の甲羅を一度油で炒めて、和風ビスクのように仕立てています。

蟹の身の甘さと、メスの蟹の卵のコクのある旨みに加えて、蟹の甲羅の香ばしさと白味噌のやさしい味わいが生きた出汁が一つに溶け合って、さらに黒トリュフ特有の香りが立つのです。虎白でしか味わえない一品になっていると思います。

器は埼玉県の陶芸作家、山田泰三(やまだたいぞう)さんのもの。虎白という店名を表現したかのような虎模様が渋いですよね。

 

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