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太庵

高畑均

CHEF / JAPANESE

堂々たるオーソドキシー

料理と本気で向き合い日々研鑽を積む。それが細やかなおもてなしの心とともに、美しくておいしい味を生む。

高畑均(たかはた・ひとし)


1966年大阪府生まれ。高校卒業後、𠮷兆の創業者である湯木貞一さんからのれんを分けられた大阪の名店「味𠮷兆」に入店。中谷文雄師匠の下で15年の研鑽を積み、2000年に「太庵」をオープン。2011年にはミシュラン三つ星を獲得。

日本料理の王道

大阪ミナミは島之内―高畑均氏は「味𠮷兆」での15年の修業を経て、生まれ育ったこの地に自分の店を持った。そして2000年の開業から20年、今も師匠・中谷文雄氏の教えを大事にしている。

 

「毎日、昨日よりもおいしくなるように心がけなさい」

 

日本料理の王道を行く高畑氏である。

ブレない軸

独立志向はなく、「料理長になりたいな」と漠然と考えていた高畑氏だが、あるとき、師匠の言葉に背中を押された。「自分の店を持つことを目指さなければ、修業で身につくものは少ない」と教えられたのだ。独立の覚悟を固めているのといないのとでは、料理と向き合う“本気度”が違ってくる、ということだろう。

 

「生き方も含めて、師匠からは本当に多くを教えられました」と言う高畑氏が、今も肝に銘じていることがある。それは「ずるいことをするな。ごまかすな。嘘をついて得することは何もない。どこから見ても恥ずかしくない仕事をする人間であれ」ということ。当たり前のことのようだが、それを「ブレない軸」として意識することが大切なのだ。

器もまな板もおもてなしの心

そうして日々研鑽を積む中で、高畑氏が磨いたものの一つに「中庸」とも称すべき感覚がある。どんな料理でも過度な演出は一切せず、食材に関しても産地が偏らないようにしているのだ。この感覚は、器のコレクションにも発揮されている。

 

「器が大好きなんです。どちらかというと陶器より磁器が多いでしょうか。今回のお造りのお皿は、古伊万里を今に再現したような伊万里焼です。雨の中、傘をさして、空がきれいに晴れてゆく様子を見上げている、そんな情景を描いたものです。今日のような雨の中を来てくださったお客様への感謝の気持ちも込めて使っています」

 

もちろんもちろん陶器も集めている。師匠から「磁器のようにつるっとしたものばかりそろえても面白くない。備前・萩・唐津などをちりばめてバランスを取りなさい」と教えられたという。

「まな板にもこだわっています。お造りはこれ、焼き物はこれ、お肉はこれ、と食材や調理法によって使い分けます。例えば焼き物に使うまな板は、太古より土に埋もれていたと伝わる神代欅のもの。由来のストーリーとともに、カウンター内の作業を楽しんでいただければと思っています。とくに外国のお客様に、日本料理を分かりやすく伝えたい、そんな思いからまな板もバラエティー豊富にそろえています」

 

なるほど随所に生きる“まんべんなく精神”は、おもてなしの心でもあるのだと実感した。店の壁には書道家の父の手による扁額。「廓無邉」とは「仕切りのない広々とした心」を意味する言葉である。高畑氏はオープン当初からこの気持ちで料理・お客様に向き合う。

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