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リューズ

飯塚 隆太

CHEF / FRENCH

今一番大事にしていることは食材への敬意です

「僕らはフランス料理の伝統的な仕事をしっかり叩き込まれた、ほとんど最後の世代なんじゃない」

飯塚隆太(いいづか・りゅうた)


誕生日:1968年11月20日 出身地:新潟県 

専門学校卒業後、「第一ホテル東京ベイ」「ホテル ザ マンハッタン」などで修練し、1994年に「タイユバン・ロブション」の開業スタッフとして働く。1997年に渡仏し、「トロワグロ」などの名店で2カ月研鑽を積む。帰国後「タイユバン・ロブション カフェフランセ」のスーシェフ、「ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」のシェフを経て、2005年「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のシェフに就任。2011年に「リューズ」を六本木に独立開業。その年に『ミシュランガイド東京』で一つ星を、翌年には二つ星を獲得している。

仔羊のローストと色とりどりの野菜。ニュージーランドの仔羊を使うが、羊の強い香りは抑えられていて、やさしい味がするのが特徴。

勾玉(まがたま)の形に仕立てたアカザエビ。甘みの強い雪下にんじんのムースを敷き、昆布などの日本の伝統食材でとった出汁のジュレで囲む。

自家製スモークサーモン、ブルターニュ産ボルディエの海藻バター、赤玉葱のピクルス、新潟の茶豆でつくった混ぜごはん。

漬物と納豆と、フロマージュブランとヨーグルトとバター。日仏の朝食は“発酵食品つながり”がありますね、と飯田氏。

食材の魅力を最大限に引き出す、それが飯塚流です

飯塚隆太氏のフランス料理に対する思い入れは、やはり深い。
最初の修行先は大型ホテルで、運良くフォンを作る部署に入り、フランス料理のベースをしっかりと学んだ。若手フランス料理人のコンクールにも積極的に挑んだし、その後はロブション氏のもとで働きながら伝統的なフランス料理と向き合い続けた。そのため、料理人・飯塚隆太の核を作っているのは、フランス料理の技術である。
だからと言って、いわゆる伝統的な、昔っぽいフレンチを作りたいというわけではない。フランス料理の技術は、応用がとてもききやすい。現代的な軽い料理も作れるし、日本のみずみずしい食材に活用することもできる。
実際、今、料理で一番大事にしているのは「素材への敬意」。料理とは、食材のポテンシャルを最大に引き出すこと。その手段として、僕はフランス料理の技術を使っている、というわけなのである。
ただ、時には和食の技術も取り入れることがある。和食にもまた、素材の持ち味を最高に引き出す技術がいっぱいあり、学ぶところが多い。自身の核はフランス料理であって、揺るぎないとわかっているから、和や他のジャンルの技術に対してもオープンでいられるのだ。

タイユバン・ロブションで渡辺さんと切磋琢磨

1996年オープンの「シャトー レストラン タイユバン・ロブション」では、オープニングスタッフとして肉部門のスーシェフに就任した。26歳の時だ。その時、肉部門のシェフだったのが、ナベノ-イズムのオーナーシェフの“ナベさん”(渡辺雄一郎氏)。歳は渡辺氏が一つ上。
「僕もその頃は血気盛んで、フランス料理の現場で鍛えられてきた自信があるから、立場が上だろうと年が上だろうと、実力がないヤツは認めない!肉のシェフといったって、どんだけのもんよ?!とか言ってギラギラしていて(笑)。でも、ナベシェフはすごかった。人として信頼できるし、料理人としても尊敬できることがすぐにわかったんです。それである日、思わず『ナベさん、あなたは僕が認めた最初の料理人ですよ』と伝えたんです。なぜか、営業中のバタバタに忙しい厨房で。ナベさんは『えっ?! 何?! 今?! 』と戸惑っていたみたいですが(笑)」

それからは、よく二人で夜通し料理論議を戦わせた。「どうやったら、ロブションさんが望むようなクリアなジュが作れるんだろうか?」「骨の焼き具合はこれでどうだろう?」「手順をこう変えてみたらどう?」……などなど、延々と試行錯誤した。
「本当に厳しい職場でしたが、ナベさんがいたからその厳しさも乗り超えられたし、成長できたと思っています。まさに戦友です」

八色椎茸のタルト仕立て

『ラトリエドゥジョエル・ロブションのシェフを務めていた時に考案した『八色(やいろ)椎茸をタルト仕立てにコロナータ産ラルドの薄いベールで覆って

 

これは、ムッシュ(ジョエル・ロブション)にラトリエのメニューにと提案して、初めて認めてもらったという思い入れがある料理です。

 

もちろん、現在もリューズのスペシャリテとして人気を博しています。

 

ここに使っている肉厚の椎茸は、私の故郷である新潟県のものは十日町出身なんですが、ここから近い、八色という場所でとれます。そのことと、大きくて肉厚で肉質も良く、しかも焼いても縮まないところにほれ込みました

 

パイ生地にニンニクで香りづけして炒めたキノコや、生ハムの端をみじん切りにしてじっくりと炒めたものなどを敷き、その上でステーキとも称すべき存在感を示しているのが八色しいたけで椎茸の旨みを存分に表現しています

アオリイカのプランチャ焼きチョリソソースピマンデスペレットのアクセント

「これもロブション時代に考案した料理です。まだ『ラトリエドゥジョエル・ロブション』のスーシェフとして働いていた時、ロブション×青柳のコラボレーションディナーがあったのです。この時にアオリイカのお造りがメニューあって。これをひと口入れた瞬間、包丁技でこれだけのテクスチャーを出せるのかと衝撃を受けました。『切ること=調理すること』これが完結していること、『切れ味』という言葉があるのは、『切る』ことが『味』なんだということ、に気づかされました。

 

この事実を知って日本料理(特に包丁技)をもっと深く学びたいとい思うようになりました。そして、包丁技に感銘を受けて考案したのがこの『アオリイカのプランチャ焼きチョリソソースピマンデスペレットのアクセント』です。蛇腹に切った烏賊をプランチャでさっと焼き、スペイン由来の食材とともに仕立てました。ロブション時代には、東京のラトリエ以外にも、モナコのジョエルロブションでオンメニューされたひと品です」

南蛮エビのラビオリ風

「新潟の冬を象徴するのが、『南蛮エビ』です。全国的に甘エビと呼ばれているこの海老は、新潟では色や形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから『南蛮エビ』と呼んでいます。県内各地でよくとれますね。地元では、南蛮エビは死んでからのほうが甘みが増すとか言ってましたね。今は、生きている状態で入手できるので、そうしています。

 

南蛮エビはたたいて、さらしたタマネギと混ぜてオリーブオイルを絡め、さらに塩とスダチのジュースを入れてタルタル仕立てに。このエビのタルタルを、昆布の塩水で漬物のようにしてスダチのドレッシングを塗ったカブでラビオリ風にはさんでいます。

 

氷温で鮮度を保っている南蛮エビは、最高の旨みを主張していると思います。鮮やかな緑色の春菊のソースでリズミカルな彩りを添えて、見た目も冬らしく“クール”に仕上げてみました」

妻有(つまり)ポークのロースト

「この豚は、新潟県妻有地方(十日町市・津南町)の10農場で結成される『妻有畜産グループ』が、健康的な豚を育てるための環境を整えることに地域ぐるみで取り組み、おいしさを追求した“ブランド豚”です。抗生物質に頼らず、独自の工夫をした無薬飼料を与えています。

 

だから、脂がとてもさらりとしていて甘みがあり、肉はきめが細かく歯応えのある柔らかさ。そして豚を主張しないところが気に入っています。

 

付け合わせの野菜は、どれも『雪室野菜』を使っています。雪室野菜とは、貯蔵庫の周りを雪で囲い、庫内にも雪を入れて氷温貯蔵しているため、野菜のでんぷん質が糖に変わって甘くなります。

 

素揚げにしたジャガイモには『かんずり』(妙高市産の唐辛子を雪の上にさらしてアクと辛みを抜いて柚子、米糀(こうじ)、塩などとともに漬け込み熟成・発酵させたペースト状の新潟伝統調味料)とバターを合わせたもので、さらに“新潟色”を出しています」

 

 

リューズ

東京都港区六本木4235 アーバンスタイル六本木 B1

TEL 0357704236

http://restaurant-ryuzu.com

営業時間 12:0013:30(L.O.)

     18:0021:00(L.O.)

月曜定休

【アクセス】東京メトロ日比谷線/都営大江戸線 六本木駅から3

【席】35席(カウンタ5席、個室10名まで1室)

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