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イル ギオットーネ

笹島保弘

CHEF / ITALIAN

「ださいイタリア料理」大好き

京都の食材や調味料を使った、常に食べる人の目線に立った料理。美しくもあたたかな“京都のイタリアン”は世代を超えたゲストに愛されている。

笹島保弘(ささじま・やすひろ)


イル ギオットーネ
1964年大阪府生まれ。高校卒業後、複数店でサービスを経験した後、渡伊。京都「イル・パッパラルド」などのシェフを経て、38歳で独立。現在は東京、大阪にも出店している。

懐かしくも極上なイタリアン

京都の他、東京・丸の内と大阪に店を構え、全国に同店出身のシェフを20人以上も輩出する「イル ギオットーネ」の笹島保弘氏。日本のイタリア料理界に大きく貢献した名シェフだが、今も欠かさないのは、常に食べ手の反応を確かめることである。

 

「サービススタッフと連携して、お客様に合わせて料理を調整します。味の濃い料理は、若い方より年配の方にお出ししています。塩分ではなく旨みを足して、少量でもご満足いただけるようにします。若い方は旨みばかりだと飽きてしまうので、食感や温度で緩急をつけたり。毎日、お客様が違うので、何年たっても新鮮です。その意味で、レストランは天職だと思っています」

 

ゲスト目線なのは、サービス出身の経歴も影響している。若い頃はファッションデザイナーに憧れたが、まず自立するためにフランス料理店のホール職に就いた。厨房に入ったのは人手不足を補うため。それから料理に目覚め、サービススタッフとして働きながら、無給で複数店での料理修業に励んだ。“イタメシ”ブームの立役者、山田宏巳シェフの元にも足繁く通った。

 

「その後、イタリアで修業をしたときには、“洋服はお洒落なのに、料理はこんなにださいのか”と、驚くとともに強く引かれました。見た目ではない、確かなおいしさがあったからです」

 

京都に店を構えてからは、日本の食材とイタリア料理の伝統を大切にした、独創的な料理で時代を築いた。だが、熟練の域に入った今だからこそ「大好きな、ださいイタリア料理に立ち返ってみたい」という思いもある。

 

今後は、スパゲティボンゴレやアクアパッツァなど、伝統的なイタリア料理を出すイベント「トラットリアナイト」も増えるかもしれない。笹島氏による、懐かしくも極上なイタリアンも、ぜひ味わってみたい。

京都は料理をするのにすごくいい街

本店は京都だが、出身は大阪の笹島氏。大阪のイタリアン「ラトゥール」でシェフを務めた後、イタリアに修業に出て、27歳で帰国したとき、声をかけてもらったのが京都の「ラヴィータ」だった。そこでシェフを務めた後、今も京都にある「イル・パッパラルド」のシェフとなり、その流れで京都に出店。京都に根付いた理由は、「料理をするにはすごくいい街だから」と話す。京都にはおいしい店が本当に多く、ジャンルを超えた付き合いがある。京都人は閉鎖的とも言われるがそんなことはなく、いい食材があればすぐに教えてくれるという。

 

生産者との距離も近いので、出始めの頃に収穫を手伝って「こういう味の野菜ができたよ」と聞けば、じゃあ調理法はこうしよう、とアイデアを広げている。反対に、笹島氏がこういう料理にしたいと伝えれば「じゃあ、こっちの畝から引いてあげよう」と、より料理に合った野菜をもらうこともあるという。また、店で出た野菜くずやアサリの殻を分別して、農家に堆肥として使ってもらっている。「車で15分も走れば手渡せるので簡単ですよ。近年はフードロスが問題になっていますが、京都では人のつながりによって、昔からこうしたやり取りがあります」と言う。

京都の食材や調味料

「もしイタリアに京都という州があったら?」というのが「イル ギオットーネ」のコンセプト。イタリアには、土地の食材を使った、古くからある食文化を大切にしようというスローフード精神が根付いている。それは、「地産地食、十里四方のものを食す」という京料理の考え方に通じているという。「イル ギオットーネ」の料理は、日本人の笹島氏が愛してやまないイタリア料理を、京都の食材を用いて作ったもの。京野菜だけでなく、調味料でも京都のものを用いている。京都で代々続く長文屋の七味唐辛子も長年使用。特に中辛は、辛すぎず、風味豊かでイタリアンにもすごく合い、パスタや肉料理をぴりっと引き締めてくれる。「旨みの出方が違う」という昆布の出汁や日本酒も必ずというほど使う。あえて京都や日本の食材を取り入れているというより、おいしいから使うのが笹島流だ。

愛用のジーパンとタオル

笹島氏の仕事着はいつもコックコートにジーパンだ。

 

「このままの格好で、大阪や東京の店に行くときの新幹線にも乗っちゃうから、すぐ見つかっちゃう(笑)。でも、動きやすいし、わざわざ着替える時間がもったいないですからね。ジーパンは、ディースクエアードというイタリアのブランドのものを長年愛用しています。最初はなかなか脚が通らないくらいきついのですが、2回はくともう、どこもかしこも自分の体にフィットして、ものすごく仕事しやすいんです。デザインとしてダメージが入っていることもありますが、エプロンをすればお客様には見えないので大丈夫。毎シーズン、これしか買わないので、店の方も他の服は一切勧めてきません。お古はスタッフにあげています」

 

もう一つ、笹島氏がずっと愛用しているのがキッチンのタオル。ウィリアムズ・ソノマのもので、長さも耐久性もちょうどいい。ハワイに行くたびに大量にまとめ買いしている。

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