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リストランテホンダ

本多 哲也

CHEF / ITALIAN

旬な食材を活かした、新しいイタリアン

繊細さと力強さが共存する本多哲也の料理は、人生を変える数々の師との出会いの中で形成された

本多哲也(ほんだ・てつや)


誕生日:1968年7月23日 出身地:神奈川県小田原市

84年東京調理師専門学校を卒業後、「リストランテ トゥーリオ」「ペーパームーン」などで修業し、97年に渡欧。

フランスのパリやプロヴァンスの店を経て、イタリア・ミラノでミシュラン三つ星店「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」、一つ星店「イル ルオゴ ディ アイモ エ ナディア」などで修業し、99年に帰国。同年、「リストランテ・アルポルト」の副料理長に就任した。

2004年に独立し「リストランテ ホンダ」をオープン。『ミシュランガイド東京』では一つ星を獲得。

19歳のとき、店を出すまでの人生計画を立てる

高校を卒業し、「おいしいスパゲッティを作りたい」と東京調理師専門学校へ。だが、「イタ飯」ブーム以前の当時、専門学校にもイタリア料理の課目はなかった。そこで西洋料理や和食を学び、担任講師の教え子というツテでたまたま飛び込んだのが最初の師、「リストランテ トゥーリオ」の猪狩英次シェフである。「猪狩シェフは、僕の精神的な基盤を作ってくれた人。だらしない学生だった僕を社会人にしてくれて、技術だけでなく、料理人として、人としてのあり方を哲学的に指導してくれた恩人です」と本多シェフ。店に就職してすぐ、「人生設計を立てなさい」と猪狩シェフに言われ、「提出するわけでもないのに、言われた通り計画を立てました。独立して自分の店を持つことを最終目標にして、5年、10年のような長期目標と、それを実現するための短期目標と。1カ月できれいに皿を洗うとか、メニューに使われている材料を覚えるとか、地道な計画を立てましたね。それが数年遅れとはいえ実現して、今に至っています」。長時間労働を厭わず、修業に明け暮れる日々も「よくも悪くも馬鹿なので、当たり前だと思っていました(笑)。目標を決めたら、何も考えずに一生懸命、やるしかなかったですね」。職人はかくあるべきと思わせる、素直で一本気な人なのだ。

 

「石の上にも三年」という言葉を真に受けて、三年一区切りで考えた計画通り、猪狩シェフの元を三年で卒業。「トゥーリオ」のつてで、現在は東京・渋谷の人気店「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」のオーナーシェフである石川勉シェフがシェフを務めていた天現寺の店「ペーパームーン」へ。そこで出会ったのが、のちの渋谷「リストランテ・スカレッタ」のオーナーシェフ、筒井力丸氏である。

師の影響でフランス料理や和食、そして日本食材へと視野を広げていく

「筒井シェフは、イタリア料理のベースにあるのがフランス料理、という考え方の人。イタリア料理にフランス料理の技法を取り入れたりもしていました」。そのため、27歳で渡欧したとき、イタリアではなくフランスから入ったのも違和感はなかった。フランス語を勉強しながらパリ、アヴニョン、プロヴァンスの店で働き、筒井シェフから教わった西洋料理の基礎を再確認する日々。本多シェフの真摯さは、フランスでも温かく受け入れられた。

 

そして、いよいよイタリア・ミラノの3つ星店「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」へ。「サンティンシェフはフレンチの技法も使いながら、最後はイタリアらしいアプローチで仕上げてくれる。興味深かったですね。アミューズから前菜、パスタを担当させてもらい、最後に魚を任せてもらいました」。その後、イタリアで2店を経験し、「33歳までに店を出す」という計画から、準備期間も踏まえて31歳で帰国。だがそのとき、さらなる師に出会ってしまう。「アルポルト」の片岡護シェフである。

 

「フランス、イタリアと周ってきて、今度は懐石イタリアンのアルポルトですよ。方向性は真逆ともいえるので、最初は正直、『えっ?』と思ったんです。ところが、入ってみると面白くて、結局、独立計画を先送りして5年半いましたね。半年間は片岡シェフにつかせてもらって、シェフの料理を理解して身につけようと努力しました。その後もスーシェフとして働きながら、毎週満席、毎日のように取材・撮影で、新店のプロデュースに立ち合って。店舗運営についても少し触れさせてもらいつつ、片岡シェフに小皿料理での味のつけ方や、日本素材への向き合い方などを学びました。国内外の最高の素材が集まってくる店だったので、毎日が刺激的でしたね」

 

ついに独立し、「リストランテ ホンダ」をオープンしたのは36歳のとき。片岡シェフが「アルポルト」を開店したのと同じ年齢だ。「アルポルト」のツテで青山・キラー通りの一画を譲り受けてスタートしたが、オープンしてすぐにリーマンショックに。周りが次々に店を畳む中、「3日間、昼夜通してお客様が0」という辛酸も舐めつつ、ネットでの口コミ評価や『ミシュラン東京』初年度版への掲載を機に訪れる人が増え始めた。「まだまだですよ」と謙遜するが、今や紛れもない名店のオーナーシェフとして、若いときに立てた人生計画を実現している。

 

「猪狩さんからはじまって、石川さん、筒井さん、ヨーロッパのシェフたち、そして片岡さん。彼らとの出会いが、僕にとっての宝物です」

 

イカスミのタリオリーニ 越前がにのオーブン焼きとともに

「冬を楽しむ最高の珍味、越前がにの旬に合わせてご提供している『イカスミのタリオリーニ越前がにのオーブン焼きとともに』。オーブンで焼いた越前がにの脚と、同じく越前がにの身とみそが主役のソースをからめた、『越前がにを食べてます!』というストレートな喜びを味わっていただく一品です。パスタはカニの風味に最も合うイカスミを練り込んだもの。ソースは越前がにの繊細な甘みを消さないために、トマトソースではなくオイル系にして、セミドライトマトやケッパー、レモンで酸味を足しています。ケッパーと白ワイン、アサリ汁を煮たてたところにカニとセミドライトマト、ターサイを加え、最後にオリーブオイルでのばしたみそを載せ、エシャロットのみじん切りで飾ってレモン汁を少々。若干辛めのソースにすることで、カニの甘さを一層引き出しています。そのままで極上の蟹なので、脚の味付けは白胡椒とオリーブオイルだけ。塩は使っていません」

尾崎牛のタリアータ

「尾崎牛ランプ肉の塊を炭火でゆっくりと焼いた、『尾崎牛のタリアータ』です。尾崎牛の赤身が持つ、深い旨みを存分に楽しんでいただくための料理ですね。紫マスタード入りのピュレ、リンゴの自家製モスタルダ(マスタード入りのシロップ漬け)、焼いた春野菜、ルッコラのピュレを添えました。尾崎牛は日本ならではの魅力あふれる食材の一つ。赤身の旨みがパワフルで、かつ上質でマイルドな風味を持つ、脂の甘みが繊細なリストランテにふさわしい牛肉を探す中で尾崎牛に出会い、以来、店ではいつも尾崎牛を使わせてもらっています。ランプ肉はサシの少ない部位ですが、サシの入りやすさが特徴の黒毛和種ですから、イタリアの牛に比べたらサシがしっかり入っています。昔は『日本の牛肉はイタリアの牛と全然違う!』と否定的に思った時期もありましたが、今はそうした日本ならではの素材に寄り添い、その魅力を最大に表現したいと考えています」

セイコガニとカリフラワーのビアンコマンジャーレキャビア添え

「越前がにの雌、セイコガニが持つ多彩な旨みと食感を丸ごと味わってもらうために再構築したのがこの『セイコガニとカリフラワーのビアンコマンジャーレキャビア添え『です。まずは生きたセイコガニを旨みが抜けないように海水と同じ塩分濃度にした湯でボイルして、脚の身をほぐし、甲羅の内子と外子、みそを取り出します。次に器にトマトのクーリーを敷き、カリフラワーのブラマンジェを載せて、周りに内子を置きます。そこにアボカドの薄切り、その真ん中に柿のピューレと柿酢を混ぜたドレッシングを載せて、ほぐした身をこんもりと。さらに、トマトをピューレにした時に出る白い汁のゼリー、外子を重ねて内子のパラパラをふりかけ、てっぺんには塩がわりにカニの旨みを引き立てるカスピ海のキャビア、オシェトラを飾ってフィニッシュです。遊び心として、トマトの赤、アボカドの緑、カニの白とイタリアンカラーで組み立てました」

リストランテホンダ

東京都港区北青山21235 小島ビル 1F

TEL 0354143723

http://ristorantehonda.jp/

営業時間 12:0013:30(L.O.)

     18:0021:30(L.O.)

月曜定休(月曜が祝日の場合は翌日の火曜日)

【アクセス】地下鉄銀座線 外苑前駅から徒歩5

【席】25

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