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茶禅華

川田 智也

CHEF / CHINESE

洗練された中国料理は「和魂漢才」から始まる

中国料理の古典にも造詣が深く、日本の食材と食文化をも考慮した川田智也の料理は、中和両方の温故知新の深みを持つ

 

川田智也(かわた・ともや)


誕生日:1982128日 出身地:栃木県

「麻布長江」で10年間にわたり四川料理を修業したのち、「日本料理龍吟」に入門。同台湾店である「祥雲龍吟」の立ち上げから参加し、副料理長を務める。帰国後、20172に「茶禅華」をオープン。同年12月に『ミシュランガイド東京』で二つ星を獲得。

 

 

「和魂漢才」をテーマに伝統の中国料理を

「和魂漢才」。

平安時代に生まれた、和の美意識や精神性を大切にしつつ、大陸から知識や学問に学ぶことを指した概念である。今、東京の料理界で、その言葉を最も体現しているのが川田智也氏。四川料理「麻布長江」の長坂松夫氏のもとで10年間の修業を重ねたのち、日本料理「龍吟」の山本征治氏に師事、台湾店「祥雲龍吟」では副料理長を担った。中国料理と日本料理、双方の名人の下で研鑽を積んだ経験を、2017年にオープンした「茶禅華」で遺憾なく発揮している。

 

「『和魂漢才』を自分のテーマとして掲げているのは、日本ならではの繊細な感覚、食材を慈しむ精神をベースとしつつ、調理では伝統的な中国料理の本質を尊重し、その技術を極めたいという考えからです」と川田氏は言う。日本で自国の素材に向き合い、中国料理の手法と融合させるという意味も込められている。

例えば、柚子。

「柚子の原産は揚子江流域ですが、平安時代に日本に持ち込まれた柚子は、日本人好みのきれいで繊細な風味に改良、昇華されています」

だからこそ、日本の柚子を調理するは、中国料理の手法通りでいいはずがない。中国料理の古典にも造詣が深く、日本の食材が持つ特徴や食文化をも考慮した川田氏の中国料理は、日本と中国、どちらにとっても温故知新の深みを持つ。

 

「柚子は大好きな食材で、特に青柚子は初夏を象徴する香り。その青柚子とクラゲに、古くからの定番料理『葱油鶏――蒸し鶏を、ネギとショウガのみじん切りに熱い油をかけて香り立たせた醬で和えた料理――のイメージを重ねた一品です

 

クラゲと蒸し鶏に、ネギ、ショウガ、そして青柚子の香りをまとわせ、柚子釜におさめました。クラゲは傘と脚の間にある、分厚く弾力の強い部位を使用しています。お客が召し上がる時間から逆算してボイルし、水にさらすことでコリコリとした理想の食感に仕上げています。クラゲにそこまで気を使う店はめずらしいのかもしれませんが、だからこそ、柔らかい蒸し鶏との鮮やかな対比を楽しんでいただけると思います」

 

夏の定番、冷やし担々麺は、スープも麺もキリッと冷やされたのど越しのいい一品。「中国では、体を冷やす冷たい料理は好まれません。でも日本では、そうめんに氷を敷くなど思い切り冷やして涼を表現しますよね。熱いものは熱く、冷たいものはしっかり冷やす。日本人のその感覚を尊重したいので、当店では冷か温か、温度にはメリハリをつけています」と川田氏。

 

料理とのペアリングとして、中国茶にもこだわりを持つ。

「お茶は究極の食材。医食同源の本質を突いています。きっと、死ぬ間際に口にしてもおいしく感じられ、心身を癒すはず。そんな料理を目指しています」

 

目の前のお客に向き合う

「冷やし担々麺。もともと四川の担々麺は汁なしですが、『ラーメンが好きな日本人には汁ありがおいしいはずと、四川飯店創業者の陳建民さんがカスタマイズした、というのは有名な話。その、目の前のお客に向き合い、本来の伝統料理の本質をとらえながら改変する姿勢を尊敬しているので、汁ありで作っています。ベースとなる清湯は、鶏ガラを煮出し、こしたものをまずは氷温で3日間寝かせて旨みを深め、使う前にひき肉で澄ませつつ香りを復活させています。

 

手間はかかりますが、この清湯があるからこそ、冷たい料理でも、スープにコクと香りがしっかりと感じていただけると思います。それと自家製ゴマペーストと豆乳で仕上げているのですが、豆乳が加わることで清湯とゴマペーストを乳化させて、ごくなめらかな口当たりが生まれます。スープも麺もキリッと冷やし、自家製ラー油と四川山椒をふって完成です」

後世につないでいくこと

「令和の時代に大切だと思うのが、先人から継承したものを、後世につないでいくことです。そこで注目したのが、干し鮑。干し鮑は中国料理随一の高級食材ですが、その一級の産地として日本の三陸が知られています。中国料理の歴史の中に日本という1ページがあることを、日本人として意識して継いでいきたい。そんな思いから、1年ほど腰を据えて干し鮑に取り組み、世界の干し鮑を試した結果、三陸産は別次元だと実感しました。

 

干し鮑特有の力強く格調高い旨み、芯にある熟成した昆布にも似た深い香り。どれをとってもまさに超一級です。この三陸産の干し鮑を2日間水に漬けてから30分ゆで、さらに鶏肉、豚肉、鶏の脚先、金華ハムを入れた鍋の中で12時間、グツグツと煮ています。どこまでもなめらかな舌触りで、適度な弾力がありつつ柔らかく、かみしめるごとに旨みがあふれる、理想の戻り具体を追求しました。煮汁は鶏ひき肉とともに加熱して澄ませたものを、サッとかけて。『寿』の形に切った昆布入りの文山包種茶を添えています」

茶禅華

東京都港区南麻布475

TEL050-3188-8819(予約専用)

http://sazenka.com

営業時間17:0020:30(L.O.)

土日月を中心に不定休

【アクセス】東京メトロ日比谷広尾駅から徒歩12

【席】26(テーブル12席、個室4名まで2室、6名まで1室)

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