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銀座とよだ

岡本圭一

CHEF / JAPANESE

食材に真摯に向き合う

日々、よりよい食材を探し求め、おごらず、気負わず、素材のおいしさをシンプルに引き出す温かな料理が、ゲストの心を引き付ける。

岡本圭一(おかもと・けいいち)


1966年岡山県生まれ。京都、大阪を始め関西の日本料理店などで修業を重ね、六本木の日本料理店で5年間、料理長を務める。2004年の「銀座とよだ」のオープンから料理長に就任。2008年から13年連続で『ミシュランガイド東京』に掲載。

究極にシンプルな料理

こだわりの食材は、できるだけシンプルに提供するのが信条だ。

 

「旬のおいしい大根なら、炊いただけでそのまま出したいです。でも、こうした究極にシンプルな料理を出すには勇気がいります。どのように作られた食材であるかをお客様に説明しつつ、納得してもらえる料理にしたいと思っています」

 

奇をてらわず、何を食べたかがわかる料理を。それは、歴代の師から学んだこともでもある。岡本圭一氏は、岡山県の食堂を営む家庭で育ち、大阪の辻学園日本調理師専門学校へ。卒業後は大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫と関西各地や、岐阜県のホテルで勤務した。最後に六本木の店で5年働いた後、「銀座とよだ」にたどり着く。

 

「各地を転々とした上に、割かっ烹ぽう、料亭、ホテル、旅館などさまざまな業態を経験したので、状況によって料理を工夫する引き出しは増えた気がします」。『ミシュランガイド東京』に2008年から13年連続で掲載され、2020年には二つ星を獲得。紛れもなく名店の域だが「食材の持ち味を生かす上では、まだまだ未熟です」と語る。

 

「基本はブレませんが、自分の哲学を貫くより、頭を柔らかくして、時代やお客様に求められるものを作りたいと思っています。生産者の訪問も、今後はもっと増やしたいですね」

出汁は昆布多めの京風

岡本氏は、京都を始め、大阪や東京など各地で修業しているので、どこの料理がベースなのかと聞かれることがある。しかし、どこというよりは、理屈ではなく、そのとき、その料理にとってよりおいしいと思う調理法を選択しるという。

 

「ただし、出汁は主に京風ですね。関西でも大阪と京都ではお出汁のとり方が違っていて、京都は昆布をたくさん使うのに対し、大阪は鰹節を多めに使います。大阪でももちろん昆布は使いますが、昆布の風味が鰹節のそれを上回ることはないですね」

 

特にこだわっているのは椀の出汁で、煮物など他の料理と分けている。椀の出汁には、煮物などで使う基本的な出汁をとる昆布や鰹節よりも、ツーランクほど高品質のものを使用。椀の出汁は、一度に二升分をとる。まず、水にたっぷりと昆布を入れ、一晩漬け込む。火を入れる前に昆布を外し、沸騰の直前まで煮立てたら、72度から75度くらいまで自然に冷まし、鰹節を入れてポットの上でこしてから氷水で冷やす。二升分で鰹節を100gほど使うのでかなりの量だが、メインは昆布。味わいにも昆布の風味をより強く感じられるという。

愛用の土鍋コレクション

土鍋はいろいろ集めているという岡本氏。特に炊き込みご飯でよく使っているのは、滋賀県の信楽にある雲井窯の中川一辺陶氏の土鍋だ。和食業界では有名な作家で、一般の方でも購入できるが、かなり人気があるので注文してから届くまでに、1年から2年かかるそう。普通、土鍋というと裏側は釉薬が塗られていない素焼きの状態だが、中川氏の土鍋には裏側にも釉薬が塗られているのが特徴。裏が素焼きだと、一度使って洗うと水を吸うため、すぐ火にかけると割れやすくなってしまう。中川氏の土鍋は簡単には割れないため、昼夜ともにコースの締めに炊き込みご飯を提供する「銀座とよだ」で頻繁に土鍋を使っても、安心して使い込めるのだ。

旬の野菜をふんだんに使用

コースのメインは魚介だが、岡本氏は旬の野菜もできるだけ多く食べていただきたいといと考えている。例えば、この時期なら蕪がおいしいので、コースの最初にタラの白子とカブを一緒にすりおろしたかぶら蒸しや、お造りにも何かしら野菜をつけるなど。仕入れ先は京都や加賀が多いという。

 

「冬なら、源助だいこん(加賀)、えびいも・京にんじん・伏見とうがらし(京都)、それからゆず(高知)。昔はコースの料金が上がるほど野菜の量が減るのは当たり前でした。今は野菜のほうが高くて貴重なものもありますし、生産者が丁寧に育てた上質なその味わいは、決して魚介や肉に劣らない“おいしさ”があります。それを味わっていただきたいですね」

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