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虎白

小泉 瑚佑慈

CHEF / JAPANESE

トリュフ、フォアグラ、フカヒレが洗練された和食の味を作る

旬の食材そのものの持つおいしさと、それを引き出す調理法、食材などの組み合わせを徹底的に追求

小泉 瑚佑慈(こいずみ・こうじ)


誕生日:1979年5月16日 出身地:神奈川県

『ミシュランガイド東京』で三つ星の「石かわ」の石川秀樹氏に師事。2008年に「石かわ」の移転に伴って「石かわ」創業の地にオープンした「虎白」の料理長に28歳で就任した。『ミシュランガイド東京2016』で二つ星から三つ星に昇格し、国内最年少の“三つ星料理人”となった。以来、三つ星を保持し続ける。

ここでしか食べられない“今のベスト”を表現

日本料理の伝統的スタイルを踏襲しながらも、それにとらわれず、日本の旬の食材そのものの持つおいしさと、それを引き出す調理法、食材などの組み合わせを突き詰め、今までにないおいしさを表現する。それが、「虎白」の料理哲学だ。

「日本料理には、旬の食材をおいしく食べる定番のものがあります。たとえば、夏になると鮎の塩焼き。それはもちろんおいしいけれど、他の店でも楽しめますよね。だからうちではあえてそこから離れて、生きた鮎をまるで泳いでいるような姿で素揚げにして、トリュフのソースで食べるなど、新しい料理を提供しています。それでお客様に『えっ、鮎って、トリュフと合わせると鮎の苦みの新しい味わい方になるね』と喜んでいただくことが、作っている僕にとっても楽しみなんです」

 

トリュフ、フォアグラ、フカヒレ。ジャンルに捉われず、高級食材を使うが、それで単純に“おいしさ増し”をしようとは考えていない。「そんなのは浅知恵だ」という小泉瑚佑慈氏。外国の食材を使っても、日本料理としての軸は決してブレない。だから、それをメインに出すようなことはないのだ。

ジビエシーズンには熊や真鴨、猪も使いますが、同じ料理がメニューに上がることはほとんどないですね11.5カ月ごとに変わるメニューは毎回、旬の食材の組み合わせも調理方法も違います。調理方法によって異なる食材の味と特徴を記憶し、まず大きなイメージを描いて、試作を重ねながら新しい料理を模索していきます。食材は産地にこだわらず、その日に一番いいものを取り寄せます。これはおやじさん(師匠の石川秀樹氏)の教えでもありますね」

 

とにかく、その、ここでしか食べられない“今のベスト”を表現する

師匠の「愛」に、全力で答えたい

「料理の専門学校を卒業してから1年間違う店で働いて、『岡ざき』に就職。そこで料理長をしていた石川さんに会いました。その後、おやじさんが神楽坂で独立するというので一緒に来て、最初は奥さんも含めて3人で『石かわ』をまわして。おやじさんが『体には有機野菜がいい』とか、自分が経験してやってきたことをどんどん実践して、みんなで共有してね。楽しかったですね。

おやじさんは、最初はそれは怖かったですよ。鬼みたいでした。それでも、仕事の姿勢や料理に対する情熱は凄かったですね。妥協しないし、筋は曲げない。すべてにおいてそれが当たり前、っていうスタンスでね。そういうところに惹かれたし、ものすごく勉強になりました。仕事としては教えてもらったことはないですね。自分で見て、考えて、覚えるスタイルでした。

といっても、昔気質の『背中を見て育て』って突き放されるのとは少し違って、聞いたらちゃんと答えてくれる。でも細かいことを言われるんじゃなくて、弟子であっても人としてリスペクトしてくれて、信頼して、任せてくれるんですよね。大事にしてもらっているという感じが伝わるんです。愛ですよね(笑)。だから、いざ石かわを出て虎白を任せてくれるとなったら、『お願いね』だけ。

ただ、石かわともまた違う店になるように、『いろんなことにチャレンジしろ』とは言われました。だから、海外の食材を取り入れるとか、今までにない料理構成によって、日本料理の幅を広げることに常に挑戦しています。ここにしかない、新しい日本料理を。石かわのDNAは、確かに受け継いでいると思いますね」

つなぎを使わず、すべてが車海老

「車海老のしんじょは、パッと見て、まず色がきれいでしょう。熊本産の車海老のしんじょに、新物のクチコと小さな蕪を添えた一品です。

秘密は、虎白ならではの車海老のしんじょです。車海老のしんじょといえば、日本料理ではわりと作られている料理です。でも、これは従来のものと違って、つなぎに魚のすり身や大和芋などを一切使っていません。つなぎを使ってももちろんおいしいのですが、食材本来の味が柔らかくなってしまいます

それで、ゆでた車海老をすり身状にしたものと生の車海老を合わせて、みそと頭と殻を別にすり鉢ですって裏ごしし、海老のエキスをたっぷり出し、しんじょの中に混ぜて仕上げました。調味料も使っていないので、いわば100%車海老しんじょ』です。

 

すべてが車海老だからこそ、雑味のない、ピュアで濃厚な味わい表現できました。時に、見た目に驚きのある、鮮やかな赤色が実現できたのです」

新しい調理法を生み出し、日本料理の幅と奥行きを広げる

「千葉県産の鮑に、軽く酒を振り、少々の水と昆布、大根を入れた鍋で2時間半蒸し煮にたのが、この鮑の蒸し煮です蒸し煮にすることで、鮑のふっくらとした柔らかなおいしさを引き出しました。そこに、すだちを絞ったキュウリの千切りを添えて。食べた瞬間に、口の中に初夏の爽やかさが広がる料理です。

このときはキュウリの千切りに合わせましたが、年によって、鮑を煮た出汁をゼリーで寄せたものとか、裏ごしした肝のソースをかけるなど、いろいろやります。定番は虎白』にはほとんどなくて、あるとしたら鮎の素揚げと松葉蟹のしんじょくらいかな。

 

旬の素材を最大限に生かした調理法で、季節を味わうというのは、日本料理の基本です。素材は和の他にも中国料理やフレンチの主役になるものなど、ジャンルを超えていろいろ使いますが、それも奇をてらうのではなく、あくまでも素材を生かすため。新しい調理法を生み出すということは、日本料理の幅と奥行きを広げることだと思っています」

虎白の「料理哲学」

「虎白の特徴の一つをわかりやすく表現しようと、今回はトリュフを使いました。

外国の食材を使っても、“和”の中の軸はブレない。日本料理の伝統的なスタイルを踏襲しながらも囚(とら)われず、日本の旬の食材そのもののおいしさと、それを引き出す調理法、組み合わせを突き詰めて、今までにないおいしさを表現する。それがいわば、虎白の料理哲学です。

だから外国の食材をメインにドンと出すようなことは絶対にありません。この料理も、黒トリュフは蟹を引き立てるための脇役。

ズワイガニのオスとメスの両方を、蟹味噌と一緒にあえて、下に焼き茄子と白味噌の出汁を張り、上からスライスした黒トリュフを散らしました。出汁は生姜、ニンニクのみじん切りと蟹の甲羅を一度油で炒めて、和風ビスクのように仕立てています。

蟹の身の甘さと、メスの蟹の卵のコクのある旨みに加えて、蟹の甲羅の香ばしさと白味噌のやさしい味わいが生きた出汁が一つに溶け合って、さらに黒トリュフ特有の香りが立つのです。虎白でしか味わえない一品になっていると思います。

器は埼玉県の陶芸作家、山田泰三(やまだたいぞう)さんのもの。虎白という店名を表現したかのような虎模様が渋いですよね」

東京都新宿区神楽坂34

TEL 0352250173

http://kagurazaka-kohaku.jp

営業時間 17:302230L.O.

日曜・祝日定休

【アクセス】東京メトロ有楽町線・南北線 飯田橋駅から徒歩3

【席】24席(カウンター6席、テーブル18

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