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モンド

宮木康彦

CHEF / ITALIAN

自然体の歩み

温かい時間が流れる空間で、心の込もった料理を楽しむ。食材本来の味を生かしたシンプルな料理は、モダンな感覚とバランスよく調和している。

宮木康彦(みやき・やすひこ)


1976年神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、「アクアパッツァ」にて約10年間修業。渡伊し、伝統料理の店、気鋭の三つ星店の両方で修業し、郷土料理と最先端のイタリア料理を学ぶ。帰国後、2008年に「モンド」をオープン。

気持ちを込めた料理

自由が丘の閑静な住宅街に、ひっそりとたたずむ「モンド」。オープンから10年を経た今、オーナーシェフ、宮木康彦氏の料理はますますシンプルになっている。食材の風味がみずみずしく生き、イタリア料理らしいぬくもりと、モダンな感覚が自然に調和。過度な主張やてらいは一切ない。「郷土料理をベースにしつつも枠は設けず、自分がおいしいと思う感覚を大切にしています」と話す。

 

そんな宮木氏の根幹にあるのは、「人に食事を作るのは、義務でもないし、作業でもない。気持ちを込めて作るのが何よりも大切」という思いだ。宮木氏がこのことを実感したのは、イタリアの北部、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のリストランテ「オベラウト」での修業時代だという。

 

「抜群においしい郷土料理を作るこの店に、“マメ”というおばあちゃん料理人がいたのですが、彼女が本当にすばらしくて。まかないも、お客様への料理も、家族への料理も、全部同じ姿勢で取り組むんです。少しもぞんざいにせず、全部に気持ちを込める。そして、どれもがおいしい。“料理を作るって、こういうことだ”と、毎日感動していました」

 

しかし、「こんなに大事なことなのに、みんな、仕事になると忘れがち」とも。そうならないよう日々意識しながら、料理に向き合う。こうした宮木氏の積み重ねが、気負わず、それでいて深い印象を残す料理を生み出している。

 

ちなみに、自由が丘駅から徒歩約10分という立地は「イタリアの田舎にある、人がそこを目座して訪れるようなリストランテに近づきたくて。落ち着いた場所で、腰を据えて食事を楽しんでいただきたい」と選んだものだ。その思いの通り「モンド」に集うのは、“料理をしっかりと味わいたい”という目的を持ったお客。加えて、ソムリエの田村理宏氏がサービスとワイン、そして音楽で食事をもり立てる。

自分のベースとなる二人

宮木氏が「今こうやって、料理に取り組み続けられているベースは何だろう?」と改めて考えたときの答えは、やはり妻の志穂氏と、ソムリエの田村氏。この二人の存在に尽きるという。

 

「妻とは高校からの付き合いです。遊びすぎで卒業も危なかった私に毎朝電話し、通学を促してくれたり、レストランで働き始め、仕事がキツくてくじけそうな私に、きちんと目的を持って生きろと叱咤したり。厳しいんです(笑)。彼女はヘアメイクの世界で、早くから独立して働いている人。目的意識の持ち方、人としての姿勢を、私は職場から半分、妻から半分教わりました。今も、仕事への集中力や厳しさは彼女にかなわない。心の指針です。一方で、田村は型にはまらず、そして嘘がなく、ワインも料理も心からおいしそうにお客様に伝えてくれます。なので私も、誰よりも田村に料理をおいしいと言ってもらいたい。彼が納得してくれる料理だったら大丈夫。私の料理を導いてくれる存在です」

「イッセイノセーの会」始めました!

「自分ができるイタリア料理とは、何だろう」と、オープンからずっと考える宮木氏。その答えの一つが、2018年8月、店の10周年を機に始めた、毎週火曜の「イッセイノセーの会」だ。これは、お客に同じタイミングでコースの料理をお出しするスタイルの会。塊で焼いた肉を皆の前で切り分けたり、パスタをゆであげたり、と、ダイナミックな料理を作ることができるという。

 

「肉を塊で焼くと、焦げ気味でカリカリの部分からレアに近い部分まで、いろいろな部分が出来上がりますが、このムラこそがイタリア料理の魅力。そんな原点を楽しむ時間にできれば、と思っています。この会を念頭に、大テーブルも特注しました。パズルピースのように入り組んだ形は、お客様のグループ同士が、それぞれが心地よい距離感を保ちつつも場を共有できるよう考えたもの。サービスの田村の力も大きいのですが、ホール全体にほどよい一体感が生まれ、温かな雰囲気になります」

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