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マルディ グラ

和知徹

CHEF / FRENCH

料理は旅だ

ワインとともに豪快に楽しむ無骨な料理。世界各国の要素がミックスされた遊び心あふれる味わいだ。

和知徹(わち・とおる)


1967年兵庫県生まれ。調理師学校を卒業後、「レストランひらまつ」を経て、1998年に銀座・三原小路の「グレープ・ガンボ」の立ち上げからシェフに。2001年「マルディ グラ」を独立開業。

自由な料理

銀座にオープンして2019年で18年が経つ「マルディ グラ」。並木通りに面したさりげない入り口から地下へ階段を降りると、こぢんまりとした居心地のよい空間が広がる。ここで提供されるのは、オーナーシェフの和知徹氏による、肩ひじ張らずにワインとともに楽しめる骨太な料理。世界各国の郷土料理の要素がそこかしこに顔を出す、生き生きとした魅力を備えた料理だ。ボリュームとインパクトがありつつ、スッと体になじむナチュラルさも特徴。そんな料理を求め、連日テーブルが埋まっている。和知氏はもともと、王道の高級フランス料理店で修業を開始したが、徐々にその枠の外にも面白さがあることを知っていったという。

 

「修業が一段落した90年代の後半、フランスに研修に行くと、現地では地中海料理を取り入れたアラン・デュカスが大人気。自由でヘルシーな彼の料理に触れ、『料理は柔軟でいい』と確信した」

 

その後、銀座「グレープ・ガンボ」でシェフを務めた際は、ニューヨークやバスクのスタイルを意識。世界中のワインを取りそろえていたため、「少し変わったワインを面白がるようなお客様が集まってきて、料理も自由になりました」。

人とのつながり

現在では「肉」のスペシャリストとして注目されることが多い和知氏。テレビのドキュメンタリー番組で世界の名だたる牛肉産地を訪ねるなど、肉の奥深さを発信する機会も増えている。また、中央アジアや東欧といった日本人にとってマイナーな地域を訪れ、その地の食文化を魅力的に紹介するなど、好奇心豊かでフラットな視点でも共感を集める。こうして旅を重ね、その成果を料理に反映し、お客の支持を得続け、発信も行う和知氏。好循環の源を聞くと、「やはり人ですね」と言う。

 

「スタッフもそうですし、生産者の皆さん、そして料理を食べてくださるお客様。時代時代で支えてくれる人がいて、新しいページが増えたのです」

 

投げかけるだけではなく、受け止めてくれる人を意識し、ともに楽しむ。マルディ グラが常に活気にあふれ、人気を集め続ける理由はここにある。

表情のある道具

「世界各地の食の現場では、料理だけではなく、道具や器を見るのも楽しみです。土地によって個性はさまざまですが、どこに行っても形がユニークで、手作りのぬくもりがあるものに引かれます」

 

日本国内の作家が作る品々にも、好きなものが多いという。とりわけ気に入っているのが、群馬にアトリエを構える鉄の作家、成田理俊氏のフライパンや器。成田氏は一つひとつ、鉄を塊から打つという、大変な手間をかけて作品を作っている。たとえ同じ直径のフライパンでも形は皆、微妙に違い、存在感のあるたたずまいが魅力だ。

 

「成田さんの作るものは、機能の面でも抜群にすぐれています。フライパンも、最初に手にしたときから手になじみますが、使うほどに熱の伝わり方、焦げ色のつき方などを把握でき、さらにしっくりと意思疎通ができる感覚です。ただの道具ではなく、表情があり、使う楽しさが感じられます」

食がテーマの旅

和知氏は食をテーマに世界中を旅するのが好きで、今まで国でいうと23カ国、都市やエリアとしてはもっと多くを見ている。

 

「北米ならニューヨーク、カルフォルニア、オレゴン、ニューオーリンズ、アラスカ。ニューヨークは特に好きで、定期的に訪れています。中南米はメキシコ、そして肉の世界的産地ブラジル、アルゼンチン。肉つながりでは、オーストラリアのタスマニアも印象に残っています。ハワイ、バリ、フィジーなど、リゾートで有名な場所にも行きますが、食がテーマで、観光はほとんどしません(笑)。中国も好きで、北京、西安、香港に行きました。どこも面白いですが、西安はいいですよ。とにかく羊がおいしい。小麦粉の文化が発達していて、麺の種類が豊富で味もよい。カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンなど中央アジアにも行きました。もちろんヨーロッパも中欧、東欧含めて回っています。フランスはほぼ全土。イタリアは北から南までいろいろ。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナのあるトスカーナは、思い入れの強い土地です」

 

一方で、日本国内の地方も好きだという。店で使う食材の生産者を訪ねる中で、その土地固有の野菜を教えてもらったり。まだまだ知らない食材が日本にもいっぱいあり、発見は尽きないという

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