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中華菜・老四川 飄香 麻布十番本店

井桁良樹

CHEF / CHINESE

蘇る老四川

「現代に蘇る老四川(古き良き四川)」をテーマに、四川現地の風味を豊かに感じる料理を作り続ける。

井桁良樹(いげた・よしき)


1971年千葉県生まれ。千葉の「岷江」「知味斎」で11年間修業。上海、成都で1年ずつ研鑽を積み、2005年「飄香」を代々木上原に開業。2010年、銀座三越に2号店をオープン。2012年に本店を麻布十番に移転。2018年、六本木ヒルズに「飄香小院」をオープン。

四川料理に魅せられて

「中國菜・老四川 飄香」は、「古き良き時代の四川省の雰囲気が漂い、香る店でありたい」という、井桁良樹氏の願いを込めてつけられた名前だ。その名の通り、本場の四川人も感じ入るほどの堂々たる伝統四川料理を、コースのスタイルでゆったりと提供する。

 

井桁氏は料理の道に入って以来、四川料理の道をただ一筋に追求し続けている。「辛さ」の印象が強い四川料理だが、実際は「百の素材があれば百の調理法がある」と言われるほどの多彩さ、絢爛さが特徴。多種多様な香辛料、調味料、そして調理法を駆使して、無限と思えるほどたくさん、かつ個性豊かな味を作り上げるのが醍醐味だ。

 

その緻密かつダイナミックな四川料理の世界に魅せられた井桁氏は、「いつかは現地で修業し、四川の一流の味をこの目と舌で確かめる」と、修業中から決めていたという。当時は、日本人が中国現地の料理店の厨房に入るなど、まるで考えられなかった時期だったが、どんな小さな縁でも活用し、持ち前の粘り強さも最大に生かすことで、2000年代前半に上海と成都で1年間ずつ研鑽を積む機会を得た。

 

05年には、東京・代々木上原に「飄香」をオープン。こぢんまりと落ち着いた店内はほどよくカジュアル。ディープで本格的な四川料理を気軽に食べられる店として、大きな人気を集めた。ただ、井桁氏の心の中にあったのは、「いつかは器、空間も本格的に整え、四川料理の技術の粋である高級宴会料理を提供する店を作りたい」という思い。その夢を実現したのが、12年に移転した現在の店だ。

四川省成都の「松雲澤」に弟子入り

18年は成都の名店「松雲澤」で修業し、四川料理の正統を継ぐ「松雲門派」の料理人として公式に認められるなど、料理人としてさらに飛躍した。

 

「“伝統的四川料理を継承する”ことが私の使命。誰に言われたわけではありませんが、それくらい、私は四川の伝統料理が好きなのです。なので、四川省成都にて“松雲門派”に弟子入りできたのは、私にとって心から嬉しい出来事でした。松雲門派は、私も数年前まで存在を知っているわけではありませんでした。知るきっかけとなったのが、当店に食事に来られた四川省の方に、四川のいいレストランを教えてくださいと聞いたこと」

 

そのときに紹介された成都の「松雲澤」を訪れた際に、「古い料理書で読んだけど、実物は見たことがない」というような品が、いくつも登場した。不思議に思いながら、店内の備品などをよく見たところ、どうやら、四川料理の源流を作った名店にして今はなき「栄楽園」の系譜を引くらしい、と分かった。その後、一度は帰国したが、「絶対にここで修業したい!」と頼み込み、一定期間、厨房で修業。弟子入りを認める儀式を経て「中国川菜松雲門派技藝傳承人」となった。現地の正統を継ぐ一派から認められたことで、自分が今まで学んできたことが間違いでなかった、と実感。料理人人生の中でも、忘れられない出来事になったという。

 

「私は本当に四川が好き。料理も好きだし、文化も歴史も好き。願いが叶かなうなら唐時代の四川にタイムスリップして、酒を酌み交わしている杜甫と李白を陰から見ていたい(笑)」

 

四川への強い思いを形で表現し続ける井桁氏。ますます充実の時期を迎える。

師匠にもらった包丁

この包丁は、井桁氏が修業を開始した千葉の四川料理店「岷江」の斎藤文夫氏からいただいたもの。「8年間の修業を終えたときに、記念にいただきました。以来、大切に使い続けている、私にとってなくてはならない道具です」と話す。

 

斎藤氏は、新橋・田村町にあった四川飯店で10年以上経験を重ねた料理人。「田村町の四川飯店」といえば一時代を築いた名店で、多くの優秀な料理人を輩出した場。そんな経験を持つ人に教わることができ、とても嬉うれしく、光栄に思って仕事にあたっていたという。

 

「これは中華包丁の有名メーカーである杉本製ですが、今あるサイズより少し長いんです。それが私にとって使いやすい。綺きれい麗なスナップを利かせることができ、刃も大きく使える。愛着もひとしおです」

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