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エディション・コウジ シモムラ

下村 浩司

CHEF / FRENCH

食材を緻密にダイナミックに使うことから始まる

「やっぱりフランス料理が一番、と僕は思います(笑)緻密さ、ダイナミックさ、完成度、構成的な楽しさ、何度取り組んでいても全然飽きないですね」

 

 

下村浩司(しもむら・こうじ)


誕生日:1967年3月30日 出身地:茨城県
大阪・辻調理師専門学校卒業後、都内フランス料理店で修業を始め、 1990年に渡仏。「ラ・コート・ドール」「トロワグロ」「ギィ・サヴォワ」で8年間修業を重ね、1998年に帰国。六本木「ザ・ジョージアンクラブ」を経て、2001年に乃木坂「レストラン・フウ」のシェフに就任する。2007年に独立し、エディション・コウジ シモムラのオーナーシェフに。『ミシュランガイド東京』で二つ星を獲得。

ああでもない、こうでもない、と、構成する楽しさがある

師として仰ぐベルナール・ロワゾーさん(フランス・ソーリュー「ラ コートドール」)に、「お前は、決して満足しない」と言われたことがあると話す下村浩司氏。
「まさにその通り! いつも『もっと上』を目指していますし、じっとしていることがない。というか、できないんです(笑)。料理に関しても、常に『どうすれば風味がもっと鮮やかになるか?』『どうすればさらに立体的な味の構成が生まれるか?』『ヘルシーでありながら深みがあるデザートをどう作ろうか?』と自問自答し続けています。ああでもない、こうでもない、と考えるのが好きなんですね。もちろん、『どうすれば、もっと喜んでいただけるか?』『どんな演出がもっと可能か?』と、お客様目線を意識した問いかけも、いつも頭の中にあります」

 

加えて、新しいことに対するアンテナも常に張っている。料理やお店に集中する時間も必要ですが、好奇心のままに動き回ることも大事。旅に出ることも多い。
「興味の先はアジア、ニューヨーク、北欧……この数年は、そんな感じです。アジアのスパイスやハーブを探して料理に生かすのが大好きですし、アジアの雑貨も、貝や木のナチュラルさが面白く、ついつい買い集めてしまいます。一方、北欧は街を歩いていてもショップに入っても、あらゆるもののデザインが本当にかっこいい。そんな北欧の雑貨も、料理の盛り付けによく取り入れています」

 

下村氏は、フランス料理の料理人であること、そしてその技術に誇りを持っている。とはいえ、スペインや北欧といった、世界のガストロノミーの流行も気になる。それで、実際にそれらの国に行くのだという。
「いくらかは『おっ!』と思う料理や店に出合うものの、腹の底から動かされることはなかったですね。人それぞれでしょうけど、やっぱり一番はフランス料理!と、僕は思います(笑)。緻密さ、ダイナミックさ、完成度、構成する楽しさ、奥深さ。何年取り組んでいても全然飽きない。僕にぴったりの料理です」

とにかく熱い日々だった、ベルナール・ロワゾーのもとでの修業

23歳の時にフランスに渡り、8年間修業した。その中でも、下村氏に決定的な影響を与えたのが、ブルゴーニュ地方のソーリューにあるベルナール・ロワゾーの店、ミシュラン三つ星の「ラ・コート・ドール」だ。ロワゾーは、フランス料理のソースに大革命を起こした人。それまでソースに欠かせないとされていたバターやクリームを極力排除し、煮詰めたアルコールを多用することもせず、代わりに野菜のピュレなどを使い、ヘルシーかつ素材の風味を鮮やかに表現したソースを作り上げたのだ。

 

「そんな才能の持ち主で、カリスマ性と情熱のあるシェフの店でしたから、もちろん世界から働きたいという料理人が押し寄せる。厨房はもう、自己主張とプライドの強い料理人の集まりですよ。自分から前へ前へを出ていかなくては、すぐに埋もれてバカにされる。素晴らしいベルナール・ロワゾーのもとで働ける喜びと、テンションの高いチームの一員になる緊張感で、日々気が張っていました。僕は日本人の中では自己主張が強い方ですが、ここで、さらに鍛えられたと思います」

盛り付けやお皿は、自由に楽しく、アイデア満載で!

「もう一つ、『ラ・コート・ドール』での思い出の料理があります。それはこの目玉焼きです。白身を焼いて、その上に黄身をのせてちょっと温める。その時のイメージをより強く打ち出しています。実際にレストランで鶏卵の目玉焼きを店で提供することはありませんが、アミューズとして、目玉焼きとカリカリのベーコンを組み合わせたベーコンエッグをお出ししていました!」

五郎島金時を主役に仕上げる

「加賀野菜の五郎島金時(ごろうじまきんとき)が主役の料理では、一目でサツマイモとわかるゴロリと大きな皮ごとの形で皿に盛りました。これは、ほどよくホクホク、それでいて舌触りなめらかという五郎島金時らしさを存分に感じる形でもあります。

 

五郎島金時は30種類以上のサイズに分けて出荷されますが、皮と中身のバランスがよい、細めのものをあえて選んでいます。そして甘みの強い五郎島金時をさらに甘く仕立てるべく、90℃の低温で40分間かけてじっくりと蒸しました。その後、バターとハチミツとともにソテーし、塩とゴマをふって完成です。甘さとゴマが、大学芋をみたいでしょう。

 

緑色鮮やかな春菊のソース、菜の花と春菊の若葉を添えて、春爛漫の景色を表現してみました。

ちなみに、五郎島金時とは、石川県金沢市の五郎島・粟ヶ崎地区や内灘砂丘で主に生産されているサツマイモ。300年以上前に鹿児島から種芋を持ち帰って、この地で栽培が始まったそうです」

盛り付けも料理の一部

「せっかく考え抜いて作り上げた料理。伝え方も大事です。

つまり、お客様に料理の魅力をしっかりと感じていただけるよう、盛り付けや演出には非常に気を遣っています。特に、お皿には15年ほど前から独自性を強く求めるようになりました。

 

まずはスペインなどのデザイン性の高いお皿を集めるところからスタートしたのですが、じきにオリジナルの皿を作家さんに依頼するように。例えば、ジュレの透明感のある味わいを強調するような、流れるように美しく気泡の入ったガラスの皿を作ってもらったり。お皿のデザインを料理の味と呼応させられる点が面白いですね。アミューズやプティフールを盛り付けるトレーは、色々と自作しましたね。東急ハンズの工作パーツや実験キット売り場に行くのが、本当に楽しくて(笑)。穴がパンチされた金属板、さまざまな種類の木材、色々な形のガラスケースなどを見ていると、盛り付けのアイデアがどんどん湧いてくる。

 

また、海外の、特に北欧のインテリアグッズを料理の盛り付けに使うのも好きです。石鹸皿やキャンドルスタンドなどを、時にはひっくり返して使うことも。もちろん、料理の味がしっかりしていてこその演出。味で感動し、演出でもワクワクする。そんなレストランでありたいと思っています」

アマダイの魅力を引き出したフレンチ

「アマダイのうろこ焼きは、まず、バットに5㎜くらい太白胡麻油を入れて、うろこを下にしてつけます。次にうろこを下にして、たっぷりの胡麻油で焼く。そうすることで、本来焼けにくいうろこに火が入りやすくなります。そしてアマダイの下には、アマダイが食べているだろう甘エビに、キャビアやツノマタ(沖縄の海藻)を加え、タルタル風に仕上げたものを敷いています。

 

緑のソースにはカリフラワーと春菊、「長門ゆずきち」を使いました。もちろん、サクサクと香ばしく焼いたうろこも味わってください。ちなみに、フランス料理ではアマダイを使うことが少ないのですが、山口県が全国1位の漁獲量を誇ると聞き、鮮度が高いアマダイだから作った料理です。

そして、ソースに使った長門ゆずきちは、ゴルフボールよりやや大きい、長門固有のかんきつです。酸味が穏やかで、種が少なく、果汁が多いのが特徴。だから料理だけでなく、アイスクリームなどデザートにしてもいいですね」

エディション・コウジ シモムラ

東京都港区六本木311六本木ティーキューブ1F

TEL 0355494562

http://www.koji-shimomura.jp

営業時間 12:0013:30(L.O.)

     18:0021:00(L.O.)

月曜定休

【アクセス】東京メトロ南北線六本木一丁目駅より徒歩3

【席】34席(個室6名まで1室)

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