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INUA

トーマス・フレベル

CHEF / OTHERS

日本の食に新たな光を当てる

世界から注目を集め、待望のオープンを迎えたレストラン。日本の食を独自の視点で見つめ、これまでにない料理を生み出している。

トーマス・フレベル


1983年ドイツ・マクテブルク生まれ。コペンハーゲンのレストラン「noma(ノー )」でレネ・レゼピ氏の右腕として活躍。20186月に「INUA(イヌア)」のオープンとともにヘッドシェフに就任。2020年にミシュラン二つ星を獲得

世界の注目を集めるレストランの誕生

デンマークの経済を変えた世界一予約の取れないレストラン「ノー マ」。その「ノーマ」のシェフ、レネ・レゼピ氏と提携する店として世界の注目を浴びつつ誕生し、最新の『ミシュランガイド東京』で二つ星の評価を得た店が「イヌア」だ。ヘッドシェフのトーマス・フレベル氏は、日本各地を旅しながら食を見つめ、新しいものを生み出す挑戦を続けている。

トップシェフを目指して

英国の雑誌による世界のベストレストラン1位を4度も獲得したデンークの名店「ノーマ」。研究開発部門で活躍したシェフが率いる「イヌア」の誕生は、世界の注目を集めた。フレベル氏は、日本でどんな料理を披露するのか。一言で表すなら「日本の四季や食文化を、日本人とは別の視点で表現した料理」と言う。

 

ドイツ出身のフレベル氏は、16 歳でサッカー選手の夢を諦め、ビストロを経営する父を将来手伝うために修業をスタート。世界トップレベルのシェフを目指すきっかけとなったのは、ドイツ初のミシュラン三つ星シェフ、エカー ト・ウィツィヒマン氏の著書だ。

 

「料理を通して世界を旅し、さまざまな食や人に出会えたという彼の人生に感銘を受けたのです」

 

それからは、持ち前の競争心の強さで「とにかく最高のシェフを見つけて、その下で懸命に働きました」と振り返る。ドイツでは4軒の店を経験。そしてレネ・レゼピ氏との出会いをきっかけにデンマークの「ノーマ」へ。

 

「レネの料理を見て、これだ、と思ったのです。それまで競争心でやっていた料理に、自分の人生の意味を見いだすようになりました」 

もう一人の師、フンデルトヴァッサー 

研究・開発をしている「イヌア」のテストキッチンには、オーストリア出身のアーティスト、フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーの作品が飾ってある。日本でも大阪市環境局の舞洲工場という清掃工場を設計しているので、ご存じの方もいるかもしれない。フレベル氏は、この絵そのものというより、フンデルトヴァッサーの哲学に感銘を受けたという。

 

「彼はすでに亡くなっていますが、活動中に、私たちが直線に囲まれた生活をしているということに気づいたのです。これは実は、不自然なこと。自然界に直線はないからです。そのため、彼がデザインした建物は曲線を中心にできています」

 

フンデルトヴァッサーは自然活動家としても活躍し、「私たちは自然界から取る一方で還元していない」という考えから、自身が設計した建物では、壁面緑化なども採用しながら、建物と同じ面積の植物を取り入れることを目標にしていた。

 

「食材も、 自然がなければ入手できません。そのことを忘れな いために、この絵を身近な場所に飾っています」

自然への敬意と愛情が生み出す料理と夢

「イヌア」で使われるのは、ほぼすべてが日本の食材。各地で食材を探し求め、山菜に最も感銘を受けたというフレベル氏の料理から香り立つのは、研ぎ澄まされた感性からにじみ出る、自然への敬意と愛情だ。 

 

「料理で世界を旅し、好きな国に住む夢はかないました。次は、いつか東京の街を緑化して、そこで食事を提供してみたいですね。食べた後の種は地面に捨てて、芽吹かせるのです。そうすれば、東京が食べられるジャングルになる。そんなことを夢見ています」

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